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何が、社長をそこまで疲れさせたのか?職人社長を脱するための、唯一つの取組みとは?

  年商10億事業構築 矢田祐二 SPECIAL
矢田祐二 SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役 矢田祐二

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

テーブルに着くと、颯爽とM社長が来られました。
服装はビシリと決まり、表情もキリリとしています。これぞ女性経営者。

この日のコンサルティングを終えると、M社長は言われました。
「矢田先生、今日この瞬間に、すごい目標を達成できました。」

矢田:「え、なんですか?」

「コンサルティング中、一度も携帯電話が鳴りませんでした。この2年間、矢田先生との2時間を、携帯電話が鳴らないようにすることを目標にしてきました。」

嬉しい目標達成です。


脳は、なぜ疲れるのか。
脳は、何をすると特に疲れるのか。
その答えは、「判断」となります。

朝、目が覚めた時、脳のエネルギーはマックスの状態です。そのエネルギーを使いながら、一日を過ごします。
朝食を食べる、車を運転する、新聞を読む。何をするにしても、エネルギーは減っていきます。

このエネルギーの減りの具合は、その「行為」によって差があります。
エネルギーの減りが小さいのは、ルーチン(習慣)化されたものです。
朝食を食べる、車を運転する、新聞を読む、これらの行動は日々のルーチンであるため、エネルギーの消費は小さく済みます。

脳のエネルギーを大きく消費する行為は、「判断」となります。判断をするたびに、多くのエネルギーが消費されます。
人間関係の出来ていない人と朝食を取れば、エネルギーの消費は大きく成ります。また、新車を運転するときも消費します。
新聞の広告欄に自分の欲しかった時計が載っています。ここでも消費です。

これらの行為中には、自分の脳が何かしらの「判断」を行っています。
「次は、これを話題にしよう」、「ブレーキを早めに踏もう」、「今度の給与で買おうかな」と、判断をしているのです。

この判断の回数が多い日や、大きな判断をした時に、脳はヘトヘトになります。

そして、それ以上に脳を疲れさせるのが、判断を先延ばしにすることです。
「友人からの飲みの誘いのメールに返信しない」状態により、消費します。
「町内会の役員を依頼されて、その答えを保留している」間、それが頭のどこかにあります。
迷っている状態、答えを先延ばしにしている状態、その間に、エネルギーは消費され続けています。そして、覿面なのが、「それをやったほうが良いと解っているが、手が付けられない」状態です。そのストレスが、脳のエネルギーを蝕んでいきます。

人は、年を取るほど楽に生きられるようになります。
その理由は、経験をすることや学ぶことで、自分のなかで判断軸ができるからです。人間関係の築き方も上手になります。車の運転にも慣れてきます。その時計が自分に必要かどうかも、すぐに答えが出せるようになります。
判断を、パターン化できるのです。それを「老い」と言うこともできます。

若いうちは、いろいろなことを考え過ぎて、楽ではありません。
人間関係の築き方もその優先順位も付けられません。自分の恰好や所持品に対する基準もありません。そのため、いろいろ考えてしまいます。そんな時期を過ごすことで、大人になっていきます。

日々の中で、いちいち判断することを減らします。すなわち、パターンを増やします。それにより、どんどん楽に過ごせるようになります。
お決まりの店、お決まりのホテル、お決まりの服。
それでいいのです。

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M社長は、2年前に当社に相談に来られました。その時の、疲れ切った顔を覚えています。
女性に対して失礼なことですが、決して魅力的ではありませんでした。
目は充血し、顔はむくみ、くすんだ色をしています。ジャケットにはしわがよっています。お話を聴くと、典型的な職人社長であるとのことでした。

世の中の職人社長は、共通して疲れています。職人の日々に、疲れているのです。正確に表現をすれば、「日々の煩雑な判断に疲れている」となります。

自ら営業します。お客様を訪問し、ヒアリングし、その場で提案をします。移動の合間に、社員やお客様と電話でやり取りをします。夕方会社に戻り、沢山のメールを処理します。そして、翌朝出社すると、その日訪問する先の企画書や見積もりを急いで作成します。

これらすべてに「判断」が伴っています。その判断の一つひとつが、社長のその日のエネルギーを消費していきます。

こんな日が続きます。その毎日が、社長を疲弊させていきます。こんな毎日に、焦りも積もります。「経営的なことに、何も手が付けられていない」、「もっと考える時間がほしい。」この焦りが、社長の脳を炎症させていきます。

これが、その当時のM社長の毎日でした。もう崩れる限界でした。そのタイミングで、私の書籍を手に取っていただけました。夜中に、ボロボロ泣きながら、読まれたそうです。そして、面談を申し込みました。
あれから、2年が経過しています。


職人社長の問題は、作業レベルの「判断」を、自分が抱えてしまっていることにあります。お客様への対応、見積もりの作成、外注業者とのやり取り、これらはサービスの量産(生産)のための「作業」となります。
それらは、「社員」の役目です。社員が自分で判断し、こなしていくものです。

新入社員は、何をするにしても脳のエネルギーを消費していくことになります。そして、経験を積むことで、徐々にルーチン業務にできることになります。
管理者は、現場で起きるイレギュラーに対応することで、経験を積むことができます。判断基準を習得することが出来ます。

事業を大きくする過程で、新人社員や管理者に、「判断」を移管していきます。この取組みのことを『仕組化』と言います。

我々は、仕組化を進めています。それは、社員や管理者が自分で「判断」できるようにすることを意味します。マニュアル、方針書、案件管理表など、すべては彼らが自分で判断できるようするために存在します。その取組みを行うほど、彼らは、判断できる範囲がどんどん広がります。また、その判断を習得することになります。会社として、「判断」をパターン化しているのです。

その一方で、社長がすべき判断が減っていきます。どんどん移管が進みます。
そして、「社長がすべき本当の判断」が残っていきます。新しいサービス、変化するお客様の要望、環境などの影響、そこには社長にしかできない「判断」があります。そこに社長は、すべてを掛けることになります。

その日一日のエネルギーを、使います。その「判断」が重いために、一つの判断でも膨大なエネルギーを消費します。
しかし、そこには充実感があります。経営者の役目をしっかりできている、やることが積みあがっていることを感じることができます。良い意味でのストレスがあります。夜は安心して寝ることができます。

社長として判断したことを仕組化(パターン化)する。そして、社員に渡していく。この繰り返しで、事業は発展します。そして、社員も管理者も成長します。
そして、会社は大きくなります。

ここに向かうしかありません。それでしか「楽(らく)」になりません。
または、潔く職人的に自分が働くことを受け入れることです。

いまでは、M社長の携帯電話が鳴ることは、週に1、2回です。
M社長は言われます。「逆に、自分が守りに入らないように、どんどん動いて、どんどん挑戦をしていきます。」

店も服もホテルも、すべてパターンでいいのです。そこで、社長の脳のエネルギーを消費する必要はありません。
量産の現場でも、消費してはいけません。それは、社員や管理者のための場です。

今日の脳のエネルギーを経営的な判断にすべてを注ぐのです。そのための判断をする時なのです。

 

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年商10億円への経営視点
矢田祐二

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング代表取締役

矢田祐二

執筆者のWebサイトはこちら http://www.yssc.jp/

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