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年功序列を好む若者増加と寄らば大樹現象の行方

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

「自分の意見が通らないから会社を辞める」「希望の部署に異動できないから転職する」――ここ数年、20代の若手からはそんな愚痴をよく耳にしました。ところが最近、風向きが大きく変わっているようです。

――新入社員の過半数が「年功序列」を望む。

先日、新聞でこの見出しを目にして、思わず頭が真っ白になりました。

「年功序列」や「終身雇用」といえば、かつては日本型雇用の美徳とされつつも、時代が変わるにつれ「若手が活躍できない仕組み」の象徴のように扱われてきました。ところが、再びそれを歓迎する若者が増えているというのです。

いったい何が起こっているのでしょうか。

出所はパーソル総研の調査です。2019年と2025年を比較すると、若者の価値観が「成長志向」から「生活優先志向」へと大きくシフトしていることが浮かび上がります。

以下は、2019年を100とした場合の2025年の数字。

  • 仕事を通じて成長したい 91.1
  • やりがいのある仕事がしたい 92.5
  • 自分の可能性が広がる仕事がしたい 92.4

こうした成長志向の数値が軒並み低下する一方で、

  • 勤務場所に融通がきく職場で働きたい 128.6
  • 働くことはお金を得るための手段に過ぎない 117.1

と、生活優先の数値が大きく伸びています。

2019年といえばコロナ禍前。以来、学生時代をオンラインで過ごした世代は、仲間と競い合う経験や、共に苦労して達成感を味わう経験が少なかったのでしょう。その代わりに学んだのは、生活を守ることの大切さです。だからこそ「安定志向」や「寄らば大樹」に惹かれるのも理解できます。

ただ、ここに企業としての課題があります。コロナ前の若者は「成長意欲あふれるがゆえに簡単に転職してしまう人材」でした。いま増えているのは「安定を重視し、会社にぶら下がりたい人材」です。どちらも扱いが難しいのですが、後者の方が厄介かもしれません。仕事にモチベーションの源泉を持たないからです。

これは一過性の現象なのか、それとも大きなトレンドの兆しなのか。今後を見極める必要があります。ただ一つ言えるのは、会社側が手をこまねいていれば、若手だけでなく中堅社員までもが「生活防衛志向」に飲み込まれ、組織全体の活力が失われてしまうことです。

だからこそ、経営者や人事は社員の眠っている好奇心や「働くことの面白さ」を呼び覚ます仕掛けを持つ必要があります。これは新人だけでなく、日常に慣れすぎた中堅層にも当てはまります。

社員の意欲を引き出す手を打ち続けることができるかどうか。これがこれからの企業の競争力を大きく左右します。

御社では何か取り組まれていますか。もしまだ何も…というのなら、手遅れになる前に一歩踏み出しましょう。

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