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我が子の育成は第三者に委ねる

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

我が子の育成は第三者に委ねる

拙著『親子経営の教科書』(マネジメント社)の出版の際、5社の親子経営企業で取材の機会を得ることができた。5社のケースから親子経営企業の経営エッセンスを読み解いた。今日はその第4話。

【我が子の育成は第三者に委ねる】

父と子の関係性は厄介で難しいもの。父親は我が子を別人格と思うことができず、まるで分身であるかのように思っている。さらに、父親の価値観と子の価値観も同じものだと思っているふしが窺える。

親子経営企業では、父と子は経営者と後継者という立場になる。父親である経営者は子である後継者に自分と同じスタイルで経営を継続してもらいたいと思っている。ところが当然のごとく、後継者は後継者独自のスタイルで経営をしようとする。

すると、父親はこれも当然のごとくに、怒りを持って後継者に意見をする。ところが、後継者が理解してくれると思っていたのに、まるで話が通じない。ここで互いに意地を通してしまうと、世によくあるお家騒動に発展することになる。

このようなとき、経営者と後継者の間に第三者が入ることで関係性の悪化を防ぐことがある。例えば、父親の相談役であり、後継者の育成指導役でもあるような第三者がおれば理想的だろう。父と子の関係性が少し変化し、改善されるかもしれない。

 私が講演の際、必ずお話させていただく孟子の話がある。少し長くなるが紹介させていただく。孟子の離婁章句上に次のような話がある。

孟子の門人、公孫丑が孟子に尋ねた。「昔より、君子は自分の子を自ら教育することがなかったと聞いておりますが、それはなぜなのでしょうか」

孟子は「それは、父親が直接子どもを教えることが、結果として親子の関係を悪くすることが多いからだ」と言われた。

続けて、「子どもに教えようとする父親は、絶対の確信と自信をもって子どもに、事の道理を教えようとする。しかし、教えた通りのことを子どもができないと、父親はついつい怒りを持って叱ってしまう。本来、良かれと思って教え始めたことが、かえって子どもとの関係性をわるくしてしまうことになる」

「子どもは、父親が自分に厳しく指導をするものの、父親自身の言動をみると、父親は自分ができてもいないのに自分ができないことを私に強いている、と思い、不信感を抱くことになる。これでは父と子の互いの不信の連鎖が止まらない」

「父と子の関係が悪くなることは決していいことではない。よって、昔の人は他人の子と、自分の子を取り換えて教えていたものだ」

「特に、父と子の間で、堅ぐるしい道徳のみを無理に押し付けるのは良くない。無理強いすれば父と子の関係性がさらに悪くなる。父と子の関係が悪くなるほどの人生の痛恨事は他にないのだ」

そのように孟子は言われた。今から2300年前の人である孟子が、まるで今、この現代に生きているかのように我々に語り掛けている。驚きとともに感動すら覚えている。孟子が言う如く、父親自ら我が子を育てるのは慎むにしくはない。

 親子経営企業では、どうしても父親が近すぎる。近すぎるがゆえに、見えなくなるものがある。子の成長も、子の苦労も、そして子の可能性も、親の先入観の中で判断してしまうことが多くある。だからこそ、第三者の目が必要になる。

第三者は親ではない。だからこそ、冷静に後継者を見ることができる。ときには厳しく、ときには温かく、一人の社会人として鍛えてくれる。父親はその様子を少し離れたところから見守ればよい。親がすべてを教えようとするより、その方がかえって後継者は大きく育つことも多い。

だからこそ、親子経営においては知恵が必要になる。我が子を思うがゆえに、一歩引く勇気を持つこと。信頼できる第三者に託す度量を持つこと。そのような姿勢が、結果として親子の関係を守り、会社の未来を守ることにつながるのではないだろうか。

 
 
 
 

 

 

 

 

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