人は研修では育たない──社員を育てたい社長が、最初に変えるべきもの
クライアントを集めての懇親会の場です。
そこで一人の社長が普段から思っていることを口に出します。
「先生、社員研修で成功した会社ってありますか?」
唐突な質問に私は止まります。
「そういえば・・・ないですね。」
さすが、当社のクライアントです。一同その回答に頷きます。
そして、一人が口を開きます。
「じゃぁ、しないほうがいいですよね。」
私は、少し考え答えました。
「いえ、やってもいいですよ、皆さんは。」
人は“特別な時間”で、育つことはない
多くの社長が、こう考えてしまいます。
「研修をやれば社員が育つ」
「外に出せば刺激を受けて変わる」
・・・そして
「自分の代わりに、彼らに“現実”を教えてほしい」
しかし実際には、社員が変わることも育つこともありません。
人は“特別な時間”で、育つことはないのです。
では、企業において、人材育成とはどこでされるのか。
それは、「日々の仕事の中」です。
・お客様や同僚から、必要とされるために動く
・置かれた状況から判断し行動する
・与えられた課題や業務の改善のために案をつくる
・後輩を付けられ、人に教える難しさを知る。
この積み重ねです。その環境で考え動くことで、人は育つことになります。
これが、人が育つということの原則なのです。
あくまでも『環境』です。
人が育つ環境を、会社が持っているか
重要なのは、会社として『環境』を与えられているか、ということです。
しかし、残念ながら、多くの年商数億企業では、それができない状況にあります。
1.基本を教わる機会がない。
・・・根本的に業務も態度も、その基本が決まっていない
2.考える状況にない。
・・・ある程度仕事を覚えると、後は同じ日々が続く
そして
3.自信を持って教えることができない。
・・・教える内容や基準が決まっていない
・・そのプログラムもない
だから社長は、研修に頼る
つまり、人が育つ“環境がない”のです。
その状況に会社がないから育たないのです。
でも、育てる必要はあります。上記の状況であるため、更に「人」の必要性は高まります。
そこで、社長はこう考えてしまいます。
「研修だ。研修をやろう」
環境の不備を、イベントで解決しようとしてしまうのです。
その結果は、先に書いた通りです。
ここで、はっきりさせておきましょう、
人材育成は、外注できません。
人が育つのは、研修の時間ではなく日常なのです。
どれだけ良い話を聞いても、どれだけその場で理解したとしても、戻る場所が同じであれば、人は必ず元に戻ることになります。
・職場は属人性が高い状態です。
・部長や課長という管理者は、同じように体を動かしています。
・後輩が入ってきても、口頭ですべてが伝えられます。
何度研修をしても育たない会社の共通点
研修で一時よくなったとしても時間が経てば、この環境です。すぐに戻ることになります。
もし、そのまま変わるような社員がいれば、その社員は元々優秀だったのです。多くはその“環境”に戻されていきます。
その中の「自社の問題点」に気づいた数名が、数年後に辞めていくことになります。
これが現実です。
何度研修をやっても同じなのです。社員は育たないし、会社は変わらないのです。
まずは、この正しい認識を持つことが必要です。
我々が、社員のためにできることは、“日常を変えること”です。
基本的な業務と態度が、正しく習得できる環境。
考える基盤となる情報が共有され、考える機会がある環境。
彼らが活躍できる環境。
御社は、その状況にありますか?
できていない、だから研修をする。彼らが目覚め、この会社を変えてくれる。
・・・くどいようですが、この発想が完全に間違いなのです。
まずは、社員の“日常を変えること”
環境を変えずに、人を変えようとする。
仕組みを変えずに、社員を変えようとする。
人が悪いのではありません。この考え方が違うのです。
人材育成とは、“人を変えること”ではありません。彼らの“日常を変えること”です。
そのために環境に向かうのです。
その結果、人が育つ会社になるのです。
研修は、その後になります。
環境が整っており、社員が育っている会社は、研修により更に成果を上げることになります。
順番を間違えてはいけません。
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