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第61号:金利上昇の本当の恐怖は“返済負担”ではない――知らなければ必ず飲み込まれる“クレジットクランチ”の正体

SPECIAL

ファミリービジネスコンサルタント

MKUコンサルティング

代表取締役 

グループ経営の最適化により、オーナー経営を永続的なファミリービジネスに変える専門家。
 上場・非上場の企業グループオーナーの側近として、20年以上にわたり、企業グループの設計と経営、事業会社の経営、事業会社の創業、M&A、PMI、事業会社の事業承継、事業会社の撤退を手がけてきた。
 現在は、「オーナー社長のための骨太な事業成長を実現するグループ経営の最適化」についてのコンサルティングを行っている。
1969年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。兵庫県立大学院経営研究科卒(MBA)。

私は、この連休中、
ある地方都市を拠点に、
複数の事業を展開されている50代のオーナー社長から相談を受けました。

その企業グループは、社員数500名くらい。
地方では一定の知名度を持つ企業グループです。

中核事業は不動産関連事業。

他にも複数の関連会社を抱え、
地域開発案件にも関与し、
「地域の名士たるオーナー社長」
と言って差し支えない方です。

私は、その企業の上場準備をしている会計士の友人から紹介を受け、
その方から上場準備について、相談を受けることになりました。

面談が始まってまもなく、
私は、そのオーナー社長の口から、
非常に印象的な言葉を聞くことになります。

「北島先生、私は、本当は上場なんてしたくないんです。」

「しかし、この度、やむを得ない理由により、子会社の上場を決意しました。」

私は、少しも驚きを感じませんでした。

なぜなら、その言葉には、
ゼロから企業グループを立ち上げたオーナー社長の本音が込められていたからです。

そのオーナー社長は、
自己資金で賄えない部分は金融機関からの借り入れで補う。

そんな覚悟で、
事業を大きくしてこられたのです。

話しは、上場の相談から金融機関からの借り入れの話へと変わってまいりました。

すると、このオーナー社長は、
少し苦しそうな表情で、こう仰ったのです。

「実は、仙台で大型ビル案件を計画していたんです。」

「ところが、昔なら簡単に通った融資が、全然通らなくなった。」

「借換も、以前より厳しくなってきた。」

「だから、子会社上場も考えざるを得なくなったんです。」

このオーナー社長は、
これまで、徹底して銀行借入主体で、
自らの事業を拡大してきました。

ところが、この仙台のプロジェクトを契機に、
「子会社上場を考えざるを得なくなった」と言うのです。

私は、このお話しを伺った瞬間、
日本全国のあらゆる会社で起こっている“ある出来事”について頭をよぎりました。

それが、今回のコラムの本題、クレジットクランチです。

昨今は、“金利上昇局面”と言われます。

金利が上昇しますと、
返済に伴う金利負担が上がります。

ところが、「金利上昇の恐怖は、返済負担の増加なのでしょうか?」

実は、金利上昇は、もっと深刻な、
金融機関側の“変化”が始まっているサインなのです。

このオーナー社長は、
「なぜ銀行が貸してくれなくなったのか」

その本質が、見えておられなかったのです。

業績は好調。
税金も払っている。
返済遅延もない。

それなのに、
なぜ、突然、
銀行の態度だけが変わるのか。

「昔は、どんなに借金をしても借り換えで回せたのに、なぜ今は借りられないのか?」

その理由が、理解できなかったのです。

しかし、ここに、金利上昇局面における“本当の恐怖”があります。

多くのオーナー社長は、
「金利が上がる=返済負担が増える」
ここまでは理解されています。

ところが、本当に怖いのは、その次なのです。

つまり、「金利上昇は、銀行そのものが、貸さなくなる」
という現象を生むのです。

私は、このオーナー社長に、
金利上昇が引き起こす本当の恐怖――
“クレジットクランチ(信用収縮)”
について、お話させて頂きました。

■①クレジットクランチとはどういうことか?

では、クレジットクランチとは、一体、何なのでしょうか。

簡単に申し上げれば、
「金融機関が、“貸せる会社”を急激に絞り始める現象」です。

日本語では、「信用収縮」とも呼ばれます。

ここで重要なのは、
“銀行から貸し出すお金が無くなる”わけではないということです。

銀行には、お金があります。

ところが、金利上昇局面になりますと、
金融機関は、
「この先、本当に返済されるのか?」
「この会社は、不況でも生き残れるのか?」
という視点で、融資先を見るようになります。

つまり、“貸せるかどうか”ではなく、
“絶対に焦げ付かないかどうか”
という観点へ、金融機関の思考が変わるのです。

すると、
◎借換審査が急激に厳しくなる
◎追加担保を求められる
◎融資額が減る
◎融資期間が短くなる
◎「様子を見ましょう」が増える
という現象が起こり始めます。

そして、多くのオーナー社長は、
ここで初めて気づくのです。

「金利上昇の本当の恐怖は、返済負担ではなかった」と。

本当に怖いのは、
“必要な時に銀行が貸してくれなくなること”なのです。

■②なぜ、金利上昇局面では、クレジットクランチが起こるのか?

では、なぜ、金利上昇局面になりますと、
金融機関は急激に慎重になるのでしょうか。

理由は極めてシンプルです。

金利が上がると、
「返済できなくなる会社」が増えるからです。

例えば、低金利時代に、借入で急拡大した会社。

本来であれば、利益体質を改善しなければならなかった会社。

こうした会社は、
金利が少し上がるだけで、一気に資金繰りが苦しくなります。

さらに、金利上昇局面では、
◎不動産価格下落(将来的)
◎株価下落(将来的)
◎消費低迷
◎設備投資減少
が起こりやすくなります。

すると、金融機関から見れば、
「企業収益は悪化する」
「担保価値まで下がる」
という二重苦になります。

だからこそ、
金融機関は、融資姿勢を急激に変えるのです。

ここで、極めて重要なことがあります。

多くのオーナー社長は、
「銀行は、これまで付き合ってきたのだから、最後まで支えてくれるはず!」
と思われています。

しかし、金融機関は慈善事業ではありません。

金融機関は、
“返済される可能性が高い会社”
へ、お金を流すビジネスです。

だからこそ、金利上昇局面では、
“将来、生き残る会社”
の選別を始めるのです。

■③クレジットクランチを起こさないためには、グループ経営最適化の観点からは、どうすべきなのか?

私は、このオーナー社長のお話しを伺いながら、
「ああ、この方は、金利上昇による直接的影響を憂いているのではない。」
「銀行借入依存経営の限界に直面しているのだ。」

そう思いました。

ここで、多くのオーナー社長は、
「もっと銀行との関係を強化すればいいのでは」
「もっと保全を固めればいいのでは」
という方向へ進まれます。

しかし、私は、それでは根本解決にならないと思っています。

なぜなら、クレジットクランチとは、
“銀行依存型資本構造そのものの限界”
だからです。

実際、私が関与したある企業グループでも、
以前は、不動産関連事業への依存度が極めて高い時代がありました。

景気が良い時代は問題ありません。

ところが、金融機関は、景気後退につながりうる局面(金利上昇)が起きますと、
「この会社は不動産市況依存が強すぎる」
と判断し始めたのです。

そこで私は、グループ再設計を提案しました。

具体的には、
◎景気変動耐性の高い事業
◎ストック収益型事業
◎法人向け継続課金型事業
◎キャッシュ回収速度の早い事業
を、グループ内へ組み込み、経営指針書に盛り込むことを提案したのです。

私は、以前にも同様のケースで、
金融機関の評価が一変したことを経験しています。

なぜだと思われますか?

銀行は、事業単体ではなく、
“いかにしてグループ全体の資金循環安定性が組み込まれているか”
を見ているからです。

つまり、クレジットクランチに強い企業グループとは、
“どんな市況にも耐えうる企業グループ“
”資金の原資が分散された企業グループ”
なのです。

ここで重要なのが、私が何度もお伝えしている
“キラー経営資源”です。

景気後退につながりうる局面が起こりますと、
“お客様に対する存立意義が明確でない会社”
から切られます。

しかし、“無くてはならない会社”
には、仕事が残ります。

だからこそ、これからの時代、
オーナー社長に必要なのは、“信用収縮耐性を持つ事業設計”なのです。

■④クレジットクランチを起こさないためには、エンジェル税制認定企業の活用の観点からは、どうすべきなのか?

そして、私は、このオーナー社長に、
もう一つ、大事なお話しをさせて頂きました。

それは、
「これからの時代、“銀行借入だけ”で永続不滅のファミリービジネスを築くことは極めて困難になる」ということです。

なぜなら、クレジットクランチとは、
“銀行が突然止まる時代”
だからです。

どれだけ長年付き合っていても、
どれだけ返済実績があっても、
金融機関は、「危ない」と思った瞬間、
融資姿勢を変えます。

つまり、オーナー社長側から見れば、
“借入依存の経営体質は、生命線そのものを他人に握られている”
ということなのです。

だからこそ、私は、
「銀行借入以外の資本調達ルートを持つこと」
が極めて重要だと思っています。

その代表例が、
“私が常日頃提唱するエンジェル税制認定企業の活用”なのです。

実際、私が関与したある企業では、
将来的なクレジットクランチを見越し、
エンジェル税制認定企業を活用した資本政策へ転換しました。

すると、個人投資家から、
長期安定資金が集まり始めたのです。

しかも、ここが重要なのですが、
エンジェル税制は、「単なる出資募集」ではありません。

株式上場は、議決権を持った普通株式が流通します。

ところが、エンジェル税制認定企業の株式募集は、
ほとんどが無議決権株式の募集です。

今回相談されたオーナー社長が、上場することにより懸念されている
支配権の低下は起こりえません。

さらに、投資家側にも、税制メリットという“経済合理性”が設計された制度です。

つまり、「投資される側は影響力を維持したまま、投資家側にもメリットがある形で、長期資本を集める設計」
が可能なのです。

結果として、エンジェル税制認定企業を活かした企業グループを志向した私のクライアントは、
◎銀行依存低下
◎自己資本強化
◎借換リスク低下
◎大型投資継続
の実現に向けて進んでいくこととなりました。

私は、これからの時代、
“借入だけで会社を守る時代”
は終わると思っています。

これからの企業に必要なのは、
◎銀行借入
◎グループ経営最適化
◎エンジェル税制認定企業
◎長期安定資本構造
を組み合わせた、“永続不滅のファミリービジネス設計”なのです。

ここまでお伝えしてきました通り、
金利上昇局面の本当の恐怖は、
単なる返済負担増加ではありません。

本当に恐ろしいのは、
金融機関による“選別”が始まることなのです。

そして、その選別時代においては、
◎銀行借入依存経営
◎単一事業依存経営
◎短期資金依存経営
は、極めて脆い構造になります。

だからこそ、これからの時代、
オーナー社長に必要なのは、
“銀行が止まっても成長できる企業グループ設計”なのです。

そして、その重要な選択肢の一つが、
“エンジェル税制認定企業を活用した資本戦略”
と言えます。

私は、これからの時代、
真に強いファミリービジネスとは、
「どのような金融環境でも、必要資金を確保し続けられる企業グループ」
だと思っています。

なお、本コラムでお伝えした内容や、
エンジェル税制認定企業を活用したファミリービジネスの再設計について、
さらに詳しく知りたい方は、ぜひ下記URLよりお問い合わせください。

https://www.mku-consulting.com/maximuminc/

内容を確認させていただき、私のほうから折り返しご連絡もいたします。

一人でも多くのオーナー社長が、
金利上昇局面が起こす真の脅威を知ることにより、
どのような経営環境のもとでも円滑な資金調達を実現でき、
永続不滅のファミリービジネスを手に出来ますよう!

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