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サッカーワールドカップに見る「選ばれること」の意味と企業経営

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循環経済ビジネスコンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

循環経済ビジネスコンサルタント。カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

 サッカーワールドカップが近づくたびに、私たちは代表選手の選考に大きな関心を寄せます。誰が選ばれ、誰が落選するのか。選手本人にとってはもちろん、応援する側にとっても気になる話題です。

 

 しかし少し視点を変えてみると、この「選ばれる」という出来事は、企業経営の世界でも日常的に起きていることに気づきます。

 

 企業はお客様から取引先として選ばれなければなりません。金融機関から融資先として、株主から投資先として、そして求職者から就職先として選ばれる必要があります。経営とは、言ってみれば「選ばれ続けるための活動」の連続なのです。

 

 では、サッカー日本代表に選ばれることと、企業が市場から選ばれることにはどのような共通点があるのでしょうか。

 

 まず共通しているのは、選ばれる側が自分で決められないということです。どれほど本人が代表入りを望んでも、最終的に判断するのは監督です。同様に、どれほど企業が自社製品の優秀さを訴えても、購入を決めるのはお客様です。つまり、「選ばれる」という現象は常に相手側の評価によって成立するということです。

 

 この点は経営者にとって重要な示唆を含んでいます。私たちはつい、自社の強みや努力を基準に物事を考えがちです。しかし市場が評価するのは、自社が何を頑張ったかではなく、自社がどのような価値を提供できるかです。

 

 サッカーでも同じでしょう。練習量そのものが評価されるわけではありません。試合で求められる役割を果たせるかどうかが問われます。企業経営もまた、自社都合ではなく相手目線で考えることが重要なのです。

 

 もう一つの共通点は、個人の能力だけでなく全体との適合性が重視されることです。ワールドクラスの能力を持つ選手であっても、監督が描く戦術に合わなければ選ばれないことがあります。逆に突出したスターではなくても、チーム全体のバランスを整える役割を果たせる選手が選出されることもあります。

 

 企業も同様です。たとえば優れた技術を持っていても、お客様のサプライチェーンに適合しなければ採用されません。価格、品質、納期、アフターサービス、企業文化など、様々な要素が総合的に評価されます。

 

 技術力だけではなく、「一緒に仕事がしやすいか」という視点もまた重要なのです。これは近年のESG投資やSDGsへの関心の高まりとも重なります。

 

 かつては利益さえ出していれば評価された企業も、現在では環境対応や社会的責任、人財育成への取り組みなどが評価対象になっています。つまり市場が企業を選ぶ基準そのものが変化しているのです。

 

 サッカーの世界で求められる能力が時代とともに変わるように、企業もまた変化する評価基準に対応しなければなりません。

 

 一方で、両者には大きな違いもあります。代表選手の枠には限りがあります。どれほど優秀な選手が増えても、最終的に選ばれる人数は決まっています。そこでは競争相手を上回ることが重要になります。

 

 しかし企業経営の場合、市場そのものを広げることが可能です。新しい技術を開発する。新しい価値を提案する。あるいはこれまで見過ごされていた社会課題を解決する。そうした取り組みによって、新たな市場を創造することができます。

 

 実はここに経営の面白さがあります。競争に勝つことだけが成長戦略ではありません。社会にとって必要な価値を創り出すことで、新たな選択肢そのものを増やすことができるのです。

 

 私はこれまで、環境ビジネスやサーキュラーエコノミーに関わる企業の支援を数多く行ってきました。その中で感じるのは、「社会が求める方向と事業の方向が一致した企業は強い」ということです。

 

 社会課題への対応をコストと考えるのではなく、新しい価値創造の機会として捉える企業は、多くの場合、お客様からも人財からも選ばれるようになります。

 

 サッカーでも、個人技だけで勝ち続けることは難しいでしょう。チーム全体が同じ方向を向き、それぞれが役割を果たすことで初めて勝利に近づきます。

 

 企業も同じです。顧客、従業員、取引先、地域社会、株主。様々なステークホルダーとの関係性の中で価値を創造し続ける企業こそが、長期的に選ばれる存在になります。

 

 ワールドカップの代表発表を見るたびに、「なぜあの選手が選ばれたのだろう」と考える方も多いと思います。しかしその問いを少し変えて、「なぜ選ばれるのか」という視点で眺めると、企業経営にも通じる多くのヒントが見えてきます。

 

 選ばれるために必要なのは、自分の強みを磨くことだけではありません。相手が何を求めているのかを理解し、その期待に応え続けることです。

 

 そしてもう一歩進んで、社会が必要とする新しい価値を創り出すことができれば、「選ばれる企業」から「求められる企業」へと進化することができるのではないでしょうか。それこそが、変化の激しい時代を勝ち抜くための経営の本質なのだと、私は考えています。

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