トップ > コラム > 他社の成功事例を鵜呑みにする社長は、社員の仕事力まで奪っている?

他社の成功事例を鵜呑みにする社長は、社員の仕事力まで奪っている?

  波及営業 藤冨 雅則 SPECIAL
藤冨 雅則 SPECIAL

波及営業コンサルティング

有限会社 日本アイ・オー・シー 代表取締役 藤冨 雅則

取引先のネームバリューで次々に新規開拓を実現する「波及営業戦略」を体系化した辣腕コンサルタントの実務コラム。


83343bc7890cf80305ed31050ff6ae03_s

「先日、Z社(大手コンサルテンィグ会社)のセミナーを受講してきました。そこで、我々の業界で成功している事例が多数取り上げられていて気になっているのです。当社も“この企画”に乗ろうかと思うのですが、先生はどう思いますか?」

先日、ご相談頂いた内容ですが、即座に「安直に取り入れるのは危険です」とお答えし、その理由を説明しました。 

社長の意思決定は、事業の成否を決定するだけではなく、社内の仕事への意識に大きく影響していきます。

いえ、社長のみならず事業に携わる社員の意識が、事業の成否を分けると言う方が正解です。

こういった観点からすると、他社の成功事例を何も考えずに鵜呑みをすることは、まず間違いなく失敗します。

そんなバカな! それを取り組んだ企業はみな売上が上がっているじゃないか?と反論がされそうですが、おっしゃる通り「カンフル剤」にはなります。

短期的にどうしても資金調達が必要ならば、その策もありでしょう。

しかし、長期にわたり事業を強く育てて行こう!というステージにおいては、愚策中の愚策と言わざるを得ません。

分かりやすい例

例えば、ある地方の宅配弁当屋が“肉食ブーム”に乗じて「特大ステーキ」をウリにしたチラシを作成して、大ヒット。昨対比で月商は楽に2倍を超えました。ここ最近では久しぶりの大ヒット企画があったとしましょう。

それをあるコンサルタントが見つけ、別のお店で丸パクリの企画を実施。すると同じように大ヒットして、そこでも月商は楽に2倍越え。

ポスティングするチラシには、巨大なステーキ肉と、それを囲む楽しそうな家族の写真を掲載。

このチラシも最初の繁盛店の「丸パクリチラシ」です。

この企画は当たる! と思ったそのコンサルタントは、宅配事業者のリストを調査会社等から購入して、「チラシ1枚で月商らくらく2倍越え!そのチラシを作る方法とは?」と宣伝。

集まった宅配事業者を経営するオーナーや店長に「このチラシをポスティングすれば簡単に売上はあがりますよ!」と高らかな声で拡散して、全国津々浦々同じような企画が蔓延していきました。

すると、当初一生懸命考えて試行錯誤して創り上げた企画者の周りにも同じようなチラシがポスティングされ始めます。

お客様は、どのチラシを見ても一緒。

注文が、分散しはじめて、最初に企画したお店の売上も徐々に下がっていきます。 

最終的に儲かったのは、能無しの“コピー機コンサルタント”だけ。

こんな笑えない話が、恐ろしいことに一部の大手コンサルタント会社は仕組化されていると聞きます。

同じコンサルタント業として、私はこのような人種達をひどく軽蔑しています。

なぜなら、こういった「結末」を迎えることを、当のコンサルタント本人たちが一番よく理解しているからです。

でも、これに乗る企業も企業です。

目先の売上責任をもつ店長なら、ある程度は仕方がありません。

しかし、長期にわたって経営責任をもつ社長や経営幹部は、このような軽薄な仕組みには、即座に気づき、何が起きるのか?を自らの頭で考えるべきです。

打ち上げ花火のように、ドカーンと当たっては、スグに尻つぼみになり、また次の企画を買って、ドカーン!

この繰り返しでは、社員が疲弊します。

いえ、疲弊するだけでなく、仕事に対する前向きな態度が薄れていき、社員は、どこかバカにした態度で仕事に接するようになります。

「巨大ステーキ」をウリにしたチラシを作って、ポスティングするか!

という思考回路では、次に「黒豚」が流行れば、「よしウチも黒豚だ!」となってしまいます。

チラシ制作を指示された社員。

仕入先をさがす社員。

調理企画をする社員。

それをポスティングしにいく社員。

浮き草のような根のない企画に、みな「また始まったよ…」と蔭で薄ら笑いして、どうせ長くは続かないだろう…とナメた態度で仕事に取り組むようになります。

社員のならず、顧客もバカにした目で見るでしょう。

この会社には、ポリシーがないのか?と。

これは、絶対に避けなくはなりません。

事業の企画とは、成功事例を見ても、「なぜ、それが流行っているのか?」 「その成功要素の中核部だけを抽出できないだろうか?」「成功のツボを抑えて、別なカタチで企画し直せないだろうか?」と自社らしさを活かした事業計画に置き換えることで、自ら生んだ企画を大事に育てることが出来る企業文化が醸成されていくのです。

現象に踊らないこと。

現象を生じさせている「前提条件」や「構造」に着眼し、成功のツボを見つけ出すこと。

その上で次なる一手を考えることが大切です。

あなたは、目の前の成功事例に踊らず、構造を見抜く習慣を身につけていますでしょうか?

 


【営業革新コラム】社運を賭けた商品を、どう売っていくか
藤冨 雅則

波及営業コンサルティング

有限会社 日本アイ・オー・シー代表取締役

藤冨 雅則

執筆者のWebサイトはこちら http://www.j-ioc.com

当コンサルタントの関連商品を販売しています。
当社の関連商品を販売しています。
当コンサルタントの執筆書籍をご案内
月刊誌(無料)登録フォーム

×