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なぜ恵方巻は定着したのか? 経営者の視点で考える

  出前・宅配 牧泰嗣 SPECIAL
牧泰嗣 SPECIAL

出前・宅配コンサルティング

有限会社マクウェル 代表 牧泰嗣

指導歴12年。これまでに118店舗で実績を上げてきた辣腕コンサルタント。各会社、店舗の状況にあわせ、確実に収益の上がるオリジナルの出前・宅配ビジネスづくりを指導。


第106回恵方巻

2月3日節分の日には、スーパーやデパートは恵方巻を求めるお客様で押すな押すなの大盛況です。あるスーパーの方に聞くと、1年で最も寿司売り場の売上が高くなるのが節分の日だと教えてくれました。

ただ、ここまで全国で恵方巻が売れるようになったのは最近のことです。

2002年(平成14年)のころまでは、関西以西では知られていたものの、関東以東での認知度は低くかったのです。それが、2009年(平成21年)には全国に知れ渡るようになりました。

一時は流行るもののその後は鳴かず飛ばずになってしまう商品やブームがあるなかで、なぜ恵方巻は短い期間で日本国中に定着したのでしょうか?

節分に太巻きを食べる風習のルーツは、大正初期の関西の花街にあるようです。それが世間に知られるようになったのは、1932(昭和7年)に大阪鮓商組合が寿司の販促としてチラシを配布したのがはじまりだといわれています。

戦後に廃れたものの、1973年頃(昭和48年)今度は大阪海苔問屋協同組合が海苔の販促として、この風習を活用しました。

この当時は「恵方巻き」とは言わずに、「節分の巻き寿司」や「幸運巻き寿司」、太巻を丸ごとかじることから「丸かぶり寿司」とも呼ばれていたのです。

そして、全国に広がるキッカケをつくったのは、セブンイレブンです。1989年に、セブンイレブンが広島県で太巻きを売り出し、その後エリアを広げて販売しました。従来の名称を「恵方巻き」と変えたのは、全国で発売する1998年でした。

「恵方巻」という名称の響きの良さとセブンイレブンの販促力のお陰で、あっという間に恵方巻きは全国に広がり、コンビニだけでなく、デパートやスーパーマーケットでも売られるようになりました。

現在では、寿司売り場や寿司屋さんが扱う定番の太巻きはもちろんのこと、中華の恵方巻あり、洋風恵方巻あり、ファストフードあり、中には和菓子や洋菓子の恵方巻まで登場しています。

価格も、300円台が中心だったものが、恵方巻が売れるようになると500円台に中心価格帯が上がり、2500円を超える高級恵方巻も売られるようになりました。

価格政策としては、中心価格帯よりも上の価格帯を数種類品揃えすることで、客単価が上がります。それでも売り場で見ている限りは、500~1000円までの恵方巻が中心価格帯で売れ筋のようです。

一部のお客様は高価格帯の恵方巻を買い求められていますが、恵方巻は中心価格帯が最も売れます。

その理由が、恵方巻が短期間で全国に定着した理由とも関係しています。

一つめの理由は、主婦または主夫の食事の支度の手間が省けるからです。
毎日の献立を考えるのは大変なことです。考えるだけでなく、調理して後片付けをすることは大変な手間が掛かります。

女性の社会進出が進み、共働きの世帯が増えているなかで、恵方巻を買って帰るだけで夕食が整ってしまうので、とても楽なのです。

「今日は節分だから、恵方巻ね」と堂々と家族に言えますし、家族も納得してくれます。食事として恵方巻を考えても、茶碗1杯はご飯が約150gですが、太巻一本はシャリを200g前後使いますから、これでお腹もいっぱいになります。

恵方巻は家族分を買うので1本1,500円だとすると4人家族で6,000円になり、ここまでの金額になると家庭の財布を預かる身としてはなかなか出せません。

しかし、1本500円なら4人で2,000円ですから、「今日は節分だから」と自分自身にもお金を使う言い訳できるので、このくらいの価格の恵方巻から売り切れていくのです。

二つめの理由は、イベント性があるからです。
モノ消費からコト消費に変わっている時代ですが、2月はイベントが少ない月です。バレンタインと節分が二大イベントですが、バレンタインはどちらかと言えば若い女性が中心になります。それに対して、節分の日は家族向けです。一人暮らしで豆まきをしても面白くも何ともありません。

家族がいれば豆をまいた後に、恵方巻をその年の恵方を向いて食べる前後にワイワイやるのは、外の寒さを吹き飛ばしてくれる楽しいイベントになるからです。

三つめの理由は、家族の幸せを願う想いが込められているからです。
恵方巻は「福を巻き込む」と言われています。他にも、邪を祓う、恵方を向いて無言で食べると「願い事が叶う」とか、一年間を「無病息災」で過ごせるなどの御利益があるようです。

三月のひな祭りにしても、お正月も、五月の端午の節句にしても、日本に伝わる行事もその殆どが、幸せに暮らせるようにと願いを込めて行います。そんな日本人の精神が恵方巻にも共通していることも1つの理由だと考えています。恵方巻のように定着する風習もあれば、一過性で過ぎていくブームもありますが、そこにはお客様の心理が大きく影響しています。

そして、売れる商品やお店にも、必ずお客様の心理が関係しています。それは、上辺の心理ではなく、深い部分の心理にあり、お客様自身が気付いていないことも多いはずです。

そこを推測し、理解することが、商売にとってはとても大切なことです。

あなたの会社やお店では、お客様の心理を考えて商売をしていますか?

 


【出前・宅配の視点】これから儲かる「お届けビジネス」のポイント
牧泰嗣

出前・宅配コンサルティング

有限会社マクウェル代表

牧泰嗣

執筆者のWebサイトはこちら http://dtbc.jp/

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