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業務の仕組み化についていけない社員にどう対応するか

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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「業務を仕組みで廻すことの重要性はわかったが、その仕組みを廻すことについていけない社員も出てくるのでは?」— 先日当社のセミナーにご参加いただいた、ある経営者から出た質問です。

業務の仕組み化とは簡単に言うと、業務フローの工程と役割分担や決定権限などを言語化・見える化し、マニュアルとして共有し、それを絶えず更新していくことです。

こう書くと、一旦仕組み化するとそれを廻していくのは簡単そうに聞こえるかもしれませんが、実はそうではなく、このつくった仕組みを廻していくことこそ大変な部分と言えます。

まず前提として、業務プロセスを仕組みで廻すことの重要性について再確認しておきましょう。当社ではよく消防署の例を挙げてこれを説明しています。もし消防署が火事が起こった際の対応を事前に決めておらず、ぶっつけ本番で隊員が思い思いの行動をとったとしたらいかがでしょうか。きっと混乱は避けられないはずですし、そんなの市民としては怖くて任せられないですよね。

もちろん実際はそんなことはなく、火事が起こったエリアごとにどのルートで向かうか、現場についたらまず誰が何の確認をするのか、もし建物の中に人がいる場合はどうするのか、そしてそれは誰が判断するのか…そういったことは全て事前に決まっており、周知徹底されています。

動ける人数は決まっています。個々の働きを漏れダブりなく、ジグソーパズルのようにピースを当てはめて、全体としての絵を描かねばなりません。チームワークによる相乗効果で1+1+1を4にも5にもしていくための仕組み化です。

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冒頭の経営者の質問に話しを戻しましょう。業務を仕組み化したとしても、その仕組みについていけない社員はもちろん出てくることがあります。特に難易度の高いことを実現しようとしてる場合はなおさらで、仕組み化したからと言ってその業務が自動的にこなされていくようなことではありません。

では仕組みについていけない社員が出たときはどのような対応をすればいいのでしょうか。これには二つの対応があります。

ひとつは、その仕組み自体に手を加える方法です。

その仕組みの中の手順が実行できない場合、その手順自体に無理がある可能性があります。その場合は工程を分割したり、ワンステップかませたり、上位者がフォローする仕組みを入れ込んだりと、確実な実行が担保される形に仕組み自体を修正する必要があります。

つまり(仕組みが回せない)人をいじるのではなく、彼にでもできるように仕組みの構造に手をつけるというアプローチです。

このアプローチの好例として非常に参考になるものがあります。それは映画「ゴッドファーザー」のコッポラ監督による解説音声です。この音声で映画を観ると、監督が俳優の力不足をシナリオやカメラワーク(構図)を変えて乗り切った場面がいくつもあることがわかります。

例えば、ある人物がドンに面会する前に緊張してしまい、事前に何度も挨拶を練習するというシーンがあるのですが、これは実際、経験の少ない役者が大物俳優と演技をするのに緊張してしまったため、これはまずいと思ったコッポラ監督が知恵を絞り、映画の中でもこの人物が緊張しているという設定に変更し、練習のシーンも急遽追加されました。まさに人ではなく構造に手をつけるアプローチの好例です。

業務の仕組み化も、まずは社員が無理なく廻せる形に設計をすることが非常に重要です。そのためには、いまやっている業務の工程をそのまま仕組み化するのではなく、ゼロベースで業務の進め方を検討し、最も効率よくパフォーマンスが発揮できる工程を組む必要があります。

当社では、競合もやっていないようなイレギュラー対応を仕組みで廻せるようにし、「キラーサービス化」するお手伝いをしておりますが、イレギュラー対応といっても社内の対応までイレギュラーにしてはいけません。「外から見たらイレギュラー、中から見たらレギュラー」の状態になるよう、その工程設計に知恵をしぼります。

もちろん、どの社員でもこなせるようにとその仕組み自体を甘くしたばかりにパフォーマンスが下がってしまっては意味がありません。そこでもう一つのアプローチが非常に重要になります。それは社員を「訓練する」ことです。

消防隊員の方々は業務の仕組み化ができたら、あとは火事が起こるのを待つだけでしょうか。もちろんそんなことはありません。火事のない日に彼らがやっていることは、当然ながら「訓練」です。有事に備え、あらかじめ定めた手順を何度も何度も繰り返して万全を期す。これがプロの所業です。

これはビジネスでも同じこと。ただし、ビジネスの場合は毎日が本番です。実際の仕事の中で、決めた工程通りに業務をこなせるよう、社員を指導し訓練していく必要があります。

ここでのポイントは、もし業務が仕組み化されていなければ社員を訓練しようがないということです。学校の勉強で言うと、教科書もなく解説もしないままいきなりドリルをやらせるようなもの。社員が毎回違うやり方で仕事をしたのでは、何が問題かわからないし、うまくいったとしても再現性が担保されないわけです。

業務の仕組み化があってはじめて社員を訓練できる。

この発想がなく、ただ社員教育をしようと言う考えで、彼らをリーダーシップ研修やコミュニケーション研修に出させても彼らは育ちません。社員に必要なことはそういったお勉強としての教育ではなく、実際の実務の中で行われる訓練なのです。

競合を凌駕するパフォーマンスを実現するために、イレギュラーをレギュラー化する革新的な仕組みの構築と、それを組織力で廻していくための社員の訓練に向き合っていきましょう。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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