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商品増は現場の疲弊とコスト増を得る、商品減は売上増と利益増を得る

  ギフト通販 園和弘 SPECIAL
園和弘 SPECIAL

ギフト通販コンサルタント

ソーノカスタマーマーケティング株式会社 代表取締役 園和弘

ギフト通販コンサルタント。通販業界、ギフト業界で通算25年以上の職務経験を経て、ギフト最大手のシャディ(株)を退社。2015年、長年培ったノウハウを全国中小企業の発展にお役立ていただきたいという思いから、絶対顧客視点を掲げた通販専門のコンサルティング&プロデュース会社、ソーノカスタマーマーケティング株式会社を設立。2017年10月にはギフトの通販ビジネスコンサルティングに特化した、売れるギフト通販研究所を立ち上げ多くの企業を指導。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

9月に入り、これから年末に向けて多くの商品ジャンルが最も売れる時期の秋冬のシーズンがやって来ました。今回のコラムは当社が通販、ギフトの通販の事業で最も重要視する商品に関することの中でも、「取扱商品数」から通販事業全体を考える・・・です。

通販事業での取扱い商品数をたった7%にまで削減したのに、売上を370億円も増やした通販会社があります。その会社、その理由も後にご紹介します。

先日、ネット通販事業を5年ほどされているある旧知の中小企業経営者の方から、ギフト商品の導入についてこのようなご相談を受けました。

「ウチのネット通販は宅配料値上げの影響もあるのか、今年に入って売上がかなり落ち込んできています。モールへの出品数は50品弱と、他店舗に比べて非常に少ないです。売上増のためにもっと出品数を増やしたり、幅広くお客様を掴みたいので、ギフトの商品増も始めたいと考えていますが、売れ筋や価格帯はどのあたりなんでしょうか?」

この会社のネット通販はここ数年は横ばいで7千万円ほど。ネット通販だけでこの数字は中小企業としては決して低い数字ではなく、かなり頑張っていらっしゃいますが、売れ筋や価格帯の前に、考え方そのもので大きな差を感じたのでこう申し上げました。

「やみくもに商品数を増やしたり、何の準備もなくギフト商品を導入で、売上は一時的に多少回復しても長続きはしないでしょう。それよりも御社の通販の中で、今最も売れている商品やロングセラーの商品をピックアップし、その商品がさらに売れるようにするにはどうすればいいのかに注力し、媒体での広告表現やアプローチ、また長年変えられていない商品のブラッシュアップ、他チャネルへの展開などにまずは取り組むべきではないでしょうか。」とお答えをしました。

商品を増やしたり、今まで通販だけでやってきたものにギフトの通販を加えて行くのはバックヤード側やシステム側での準備もそれなりに必要です。この点にも十分に注意しておかないと、現場の対応は煩雑になって疲弊していきます。

製造メーカーさんであれば、少ししか売れないものも沢山売れるものと同じような準備・段取りは必要で、さらに資材や原料の調達、在庫管理や商品出荷体制などにも大きな影響を及ぼします。よって売上は多少上がったとしても、コストの増大を招き、現場担当者の負担も大きくなり、メリットよりもデメリットの方が大きいことが、圧倒的に多いのです。

そうは言っても、商品を増やして売上を少しでも増やしたい経営者や、通販事業運営責任者さんのお気持ちも十分に分かります。多くの企業が、商品数を増やす=売上増に繋がる、商品を減らす=売上が減る・・・という不安に駆られてしまうのも事実です。

昨年のある時期、三越伊勢丹などの大手百貨店がこぞってECにより注力してくという見出しが踊っていました。「ネットで売上を確保するために最も重要と考えていることは何ですか?」という問いに対してほとんどの百貨店が「品揃え、商品数の充実」と答えていました。力が落ちてきたとはいえ、ブランド力や商品調達力のある大手百貨店ですし、老若男女に関わらず、幅広い層を捉えたいのが百貨店事業ですから、多くの商品を揃える戦略はある程度必要ではあると思います。

しかし、中小企業の通販、ギフトの通販にとって大手百貨店はもちろん、amazonなどの通販大手に品揃えで立ち向かうことは到底かないません。

10年ほど前、セブン&アイがネットショッピングを立ち上げた際、10万点の品揃えをする!と高らかに宣言してスタートしました。私は当時ギフト販売の会社におり、セブン&アイからギフト商品供給の要請を受け、たった一週間しか時間が無かったのですが雑貨・食品など必死で他のスタッフと共に、約5,000点をセレクト、掲載に必要な商品画像、セールスコピー、スペックなどを揃え供給しました。会社としてはあのセブン&アイの新事業での取り組みですから、大いに期待をしていました。

しかし、5,000点もの大量のギフト商品を供給したにも関わらず、1週間に1個の注文があるかどうか程度。ただただネットに上げている状態で、何の工夫も施されていなかったのが当時の現実でした。商品数があまりにも多すぎて商品11点に力を注ぎきれなかったのでしょう。

ここから今週のコラムタイトルのお話しです。当社もクライアントを通じて事業に関わっていた、ジャパネットたかた社が達成した “究極の” 商品数減と、売上増の相関関係を述べます。

ジャパネット社の2015年は、商品数8,500点 売上1,559億円でした。そして翌2016年、大英断をされます。髙田 明氏の引退の後、ご子息の髙田 旭人氏が先頭に立ち「商品数を1/10以下にする」という大号令が、全バイヤーに向けて掛かり、このことは経済誌やネットニュースでも取り上げられました。

旭人社長は父親の明氏とは異なり、TVショッピングには一切出ません。ジャパネット入社後、事業戦略、商品企画、媒体制作だけでなく、お客様センターや物流、人事など様々な職種を経験されていたので、全体最適を重要視しながら売上拡大していく指針を打ち出されていたように思います。

そして2017年、商品数は8,500点から600点までに減らしたにも関わらず、売上高は過去最高の1929億円を達成しています。

2015年から、たった7%の商品だけで売上を370億円(24%増)を積み上げたのです。思いつきで実行する事業規模の会社ではないので当然、確信、裏付けがあってのことでしょう。それでもここまで大きく減らすのには、決断材料と大きな勇気は必要だったはずです。

ジャパネット社は商品を厳選したメリットとして、下記のことを述べています。

  • 商品の魅力が増すこと
  • 制作の深化(現在、Web掲載全製品に動画を掲載、縦横比率や商品の見せ方の工夫)
  • 納期の安定
  • 自社修理の品質向上
  • 商品登録など関連業務の負担軽減

商品数をものすごく減らして、いいことずくめだった!という訳です。

前述の百貨店とジャパネットのような通販会社では、顧客属性の違いもあるので単純比較は出来ません。しかし、中小企業の通販(ギフトの通販含む)では、TVショッピングや有名なメディアミックス戦略でも分かる通り、1つの商品を徹底的に販売するジャパネット社の販売戦略が最も参考になるのではないでしょうか。

商業界ではよく言われる、2:8理論(2割の商品が8割の売上を稼ぐ、2割の顧客が8割の売上に貢献する)ではなく、1:9理論くらいで推し進めた結果、大きな売上増を達成しました。各業務の効率化からもコスト減になっているでしょう。社員の働き方改革にも繋がったでしょうし、その分、販売に直結する媒体や制作などに資金や人材への投資が行き渡る・・・。

私自身、業界経験の中で商品をあえて減らして売上増に繋げたことは多々あります。逆に同じように不安感から増やして失敗した経験もあります。

あなたの会社の通販でも品数を減らす勇気を持って、それが売上増、利益増に直結することを信じて取り組まれることを、ぜひオススメします。

 

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儲かる「ギフト化」の経営視点
園和弘

ギフト通販コンサルタント

ソーノカスタマーマーケティング株式会社代表取締役

園和弘

執筆者のWebサイトはこちら https://urerugift.com

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