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第65話:蟻が巨象に勝つ絶対法則

  導線経営 中丸秀昭 SPECIAL
中丸秀昭 SPECIAL

導線経営コンサルタント

日本成長戦略研究所株式会社 代表取締役 中丸秀昭

集客から営業・販売まで一気通貫で儲けを逃さない導線を設計し、仕組み化することで収益を最大化する経営手法を“導線経営”として体系化した第一人者。100名以下の中小企業が価格競争に巻き込まれることなく、収益最大化を実現する成長戦略を指導。

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蟻が巨象に勝つ絶対法則とは?

「小さな蟻でも、やり方さえ工夫すれば巨像に勝てるんです。」とは元ハーレーダビッドソン・ジャパン(以下:HDJ)の社長を勤められた奥井俊史氏。ある機会があり直接お話を伺うことができたのですが、ハーレーダビッドソンと言えば知らない人はいない大型バイクのブランド。高額なバイクとしても知られ、高価な車輌では300万円超、安価な車輌でも100万円は下らないというバイクです。

HDJの主戦場となるバイク市場は非常に厳しいマーケット。どれだけ厳しかったかと言うと、先ず前提として、日本はバイク大国と言われる市場であり、ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキの4強がひしめく市場であること。

それに加え、マーケットの最盛時は1982年でしたが、奥井氏が社長に就任された1990年は最盛時の1/2。社長を退任された時は最盛時の1/6という状況。そんな厳しい環境の中で19年間販売台数を伸ばし続け、シェアNo.1にまで上り詰めた“巨像を倒す蟻の戦略=弱者の戦略”とは一体どのようなものだったのか?

奥井氏の言葉をお借りして申し上げると、蟻が巨像に勝つためのポイントは大きく3つ。1つ目は、「バイクを売ったのではない」と言うこと。2つ目は、「イベントをマーケティングの中心にした」と言うこと。3つ目は、「凡事を徹底した」と言うこと。では順番に解説していくと・・・

1つ目の「バイクを売ったのではない」とは、言い換えると「モノではなくコトを売った」と言うことです。奥井氏曰く、「商品(モノ)に頼る売り方が日本メーカーである。中小企業である私たちは、経営資源に限りがあるのでヒト・モノ・カネからオフセットし、自分たちがやれる方法・売れるやり方(コト)を考えなければならなかった。そのような中で独自性が生まれた。」とのこと。

これは拙著「儲かる会社88の鉄則」でもお伝えしてますが、人が商品やサービスを購入するか否かを判断する時、“価格”と“価値”の2つの判断基準しかないと言うことと同じです。つまり、1)“価格”以上に“価値”が高いか?、2)“価値”以上に“価格”が安いか?です。“価格”で選ばれたくなければ、“価格”競争に巻き込まれたくなければ、高い“価値”を提供するしかないわけです。

高い“価値”を提供するにはどうすれば良いか?そこに独自性が生まれ、見えない“価値”を見える化する手段のひとつとして、モノ(商品)を売らずにコト(イベント展開など)を売ったと言うことで、次のイベント展開に繋がるわけです。

2つ目の「イベントをマーケティングの中心にした」とは、言い換えると「既存客・見込客との接点を最も重要視した」と言うことです。以前、偶然にも日本で一番ハーレーダビッドソンを売る販売店様のご支援をさせて頂いたことがあるのですが、その際、担当の方からとても興味深いことを伺いました。それは「他のバイクメーカーはHDJのことをバイクメーカーとは思っていない。彼らはHDJのことをイベント会社だと言っている。」と言うのです。

実際に年間1000回を超えるイベントが開催されており、イベントに参加される6割の方が新規客だそうです。これは“弱者の戦略”として知られるランチェスター戦略の中では、弱者の5大戦法のひとつ「接近戦」として言われており、非常に理にかなったやり方です。

※ランチェスター戦略は「弱者の戦略」と「強者の戦略」が対になっています。「弱者の接近戦」に対して「強者の遠隔戦」についても是非知っておいてください。下記の動画では接近戦と遠隔戦について解説しています。

ランチェスター戦略の接近戦と遠隔戦

※動画の再生はこちら(成長戦略TV 第16回)

要は、経営資源に限りのある中小企業はお客様に近付き(実際に会って)、お客様の心をつかむような営業をしろ!」と言うことです。心理学にザイオンス効果というものがありますが、「人は会ったことがない人より、1回でも多く会った人に対して親近感と好感度を持つ」というものです。社内結婚などが多いのもザイオンス効果のひとつと言えるでしょう。

3つ目の「凡事を徹底した」とは、言い換えると「仕組みをつくった」ということです。奥井氏は、「誰でもがやれる、些細で簡単な事柄の中にひそむビジネスの原点を、誰にでもできるレベルではなく、簡単にはやれない非凡なレベルにまで徹底して実践しようということです。」とおっしゃってます。

「A社の人材は優秀だけど、うちの社員はそうではない…」という類の話を経営者の方から伺うことが少なくありませんが、A社の人材だけが優秀で、自社の人材は優秀じゃないなどということは絶対にありません。その差は個々の人材の差ではなく組織力の差であり、目的達成のための「仕組みがあるか否か」です。

ここでも奥井氏は、「非凡になされた凡事を蓄積して大きなシステム(仕組み)をつくる。それらを通して顧客への“信頼”を構築する。」とおっしゃってます。

戦略とは、「目的達成のためのシナリオづくりと最適資源配分」です。目的地までのシナリオ(行き方・道順)をつくらなければ、目的地に到達することはなく、それはカーナビでも一緒です。そして、目的地までの速度と時間を早めるのが“仕組み”です。

“仕組み”は他社ができないことを、自社の誰もができるようにするツール、「凡人をして非凡なことを成さしめる」ツールであり、経営者でなければ絶対にできな仕事です。貴社には目的達成のための“戦略”がありますか?凡人でも非凡な成果につながる“仕組み”がありますか?

 

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中丸秀昭

導線経営コンサルタント

日本成長戦略研究所株式会社代表取締役

中丸秀昭

執筆者のWebサイトはこちら http://growth-strategy.jp/

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