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第87話:1年で売上2倍の営業戦略

SPECIAL

導線経営コンサルタント

日本成長戦略研究所株式会社

代表取締役 

【非対面化・オンライン化・自動化】を組織の中枢として捉え、「集客から営業・販売」まで一気通貫で儲けを逃さない導線を設計し、「仕組み化」することで収益を最大化する経営手法を“導線経営”として体系化した第一人者。100名以下の中小企業を中心に「1年で売上2倍の仕組みづくり」を指導。

「今期は10億を目標にしました!」とは、B to Bの事業を展開する顧問先A社の社長。前期の実績は6億弱。中長期経営計画でみると10億の目標は2年先の話。訊けば、社長から一方的に「降りてきた数字」ではなく、現場スタッフから上がってきた数字と突き合わせた上で、無理なく決定できたとのこと。

前期の6億弱からすると、今期の10億はおよそ1.5倍以上。当然ながら何の根拠もなく「えいやっ!」で決定できる数字ではなく、簡単な目標でないことはすぐにわかります。

なぜ、このような数字・目標が無理なく、現場と経営陣が一体となって掲げることができたのか?ひと言で言えば、「今まで見えなかったものが、見えるようになった=可視化できた」からです。ひとつ例を挙げましょう。

例えば、あなたの会社がルートセールスで何社かの得意先にワインを販売していたとしましょう。得意先を調べてみるとA社とB社が同額の100万円で、貴社における一番の得意先であることがわかりました。もし、あなたが営業を指揮する立場なら、どちらの得意先に注力するように指示を出しますか?

当然、これだけでは判断できません。そこで、一歩踏み込んで調べてみると、A社は月1,000万円分のワインを仕入れており、B社は月300万円分のワインを仕入れていることがわかりました。貴社にとっては同じ100万円という売上ですが、得意先から見た貴社における客内シェアはA社が10%、B社が約33%です。

さて、ここでもう一度先程の質問です。営業を指揮する立場として、あなたならA社とB社、どちらに注力するように指示を出しますか?実際に考えてみてください(実際に数秒間だけでも考えてから読み進めてください)。

顧問先様や講演会・セミナーなどで幾度となく同じ質問をさせて頂いた私の経験から言えば、8〜9割方の経営者・営業マネジャーが間違った回答をするのです。多くは「A社に注力する!」と回答され、その理由を伺ってみると「月額1,000万円仕入れているA社の方が伸びシロがあるから...」とのこと。

しかし、営業戦略の鉄則としてはA社でなく、B社に注力しなければなりません。繰り返しになりますが、「A社に注力した方が良い」ではなく、「B社に注力しなければならない!」のです。ここで挙げた事例の場合、その理由・現場における判断基準はは2つあります。下記の動画で解説してますので参考にしてください。

法人営業戦略の立て方考え方

動画の再生はこちら(成長戦略TV 第26回)

さて、経営者である貴方はどのように判断されたでしょうか?ここでは2つの判断基準を取り上げましたが、このような判断基準は20以上あり、状況によって使い分けることが現場では求められます。

その判断基準・原理原則を知らないばかりに、現場を指揮する組織のトップと言えど、判断を誤り成果の出ない間違った営業戦略を取っている例が後を絶ちません。そして、営業の現場はその間違った戦略に翻弄されているのです。これではいくら努力しても数字は上がりません。

さて、冒頭のA社の話に戻すと、今までの営業会議では「自社の売上がいくらでした」「来月はいくらの売上になりそうです」...という類の営業担当者ごとの報告に終始していました。話の内容も“過去の数字”を報告することに終始し、明るい“未来の数字”が語られることはほとんどなかった状況...

ところが、弊社オリジナルの「現場自走型・営業戦略マーケットシート」を活用した営業会議では、営業から上がってきた数値で顧客ごとの需要・競合他社の売上・シェアなどが“可視化”されているので、自社が現在置かれているポジションを俯瞰することができ、組織として戦略的に考えることができるようになったのです。

この資料は、テリトリーとするマーケットの総需要と顧客ごとの需要、さらに競合他社の売上(顧客ごとの客内シェア)がわかるように作成するので、300社以上の顧客があっても「X社においては自社の売上は高いものの、競合他社にも相当の売上・シェアを奪われている」というようなことがひと目でわかる資料になっています。

このようなことがわかると限られた営業リソースを最適資源配分し、生産効率を上げることができます。具体的には顧客をランク分けし、「訪問すべき顧客」と「訪問すべきでない顧客」「訪問してはいけない顧客(電話・メール・FAXのみでの対応)」などです。

自社における営業状況を俯瞰して見ることができるようになると様々なメリットがありますが、その中でも絶大なメリットのひとつは、社長・営業マネジャーが営業部門の動きを全て把握できるようになるという点です。

実際に従業員数20名〜50名、営業マンが5〜10名前後という中小企業を見ると、社長・営業部長が営業マンの動きを把握できていないというケースが大半です。営業とひと言で言っても、初訪からはじまり、ヒアリング・プレゼンテーション・クロージングなど様々なプロセスがあり、営業マンごとに得意不得意なプロセスがあります。

にも関わらず、多くの場合は営業マンが個人商店と化していて、営業のプロセスにおける個人の得意不得意を組織としてカバーできるような体制になっていないのです。営業マンごとの得意不得意に合わせて、組織としてフォローしなければ数字は上がりません

営業の状況を俯瞰して見ることができるメリットをもうひとつ挙げると、営業スタッフの主観をあてにして判断を誤るということがなくなります。「取れる案件なのに営業の判断ミスで取り損なった」「取れない案件なのに営業が判断を誤って全社的に振りまわされた」などの経験があるのではないでしょうか。

顧客の状況・競合他社の状況・自社の体制が可視化され、全社的に見ることができれば、営業担当のみの判断で数字が左右されるということなく、営業の現場・部門が、自走的に舵を切ることができるようになります

営業戦略は、現場から上がってきた情報(数字など)をもとに経営トップと営業の現場が一丸となって全体会議で決定されるからこそ、現場にフィードバックされた時に営業の現場が走れる戦略になるのです。経営トップから一方的に降りてきた戦略では、営業の現場は走れないのです。

営業活動は情報収集活動であると言い換えることもできます。「情報なくして戦略なし、戦略なくして売上なし」なのです。貴社の営業活動において、顧客・競合他社などの情報収集ができる「仕組み」がありますか?日々の営業活動が「競合他社に勝つ戦略」を立てるための情報収集活動になっていますか?

 

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