第54話:営業戦略はトップ、営業戦術は現場?

  導線経営 中丸秀昭 SPECIAL
中丸秀昭 SPECIAL

導線経営コンサルティング

日本成長戦略研究所株式会社 代表取締役 中丸秀昭

集客から営業・販売まで一気通貫で儲けを逃さない導線を設計し、仕組み化することで収益を最大化する経営手法を“導線経営”として体系化した第一人者。100名以下の中小企業が価格競争に巻き込まれることなく、収益最大化を実現する成長戦略を指導。


営業戦略はトップ、営業戦術は現場?

「X社から今以上の売上を上げるにはどうしたら良いでしょう?」とは、B to Bの事業を展開する顧問先A社の営業会議で出た言葉。訊けば、A社にとって現状でも上得意先となるX社であるが、X社には相当の需要があり、競合他社にかなりの売上を取られてしまっているとのこと。

顧客のX社を担当しているA社の営業担当者は、情報収集に余念がなく非常に優秀な方。X社や競合他社の状況を訊くと、会社として「ある条件」がクリアできなければ、さらなる売上アップが見込めないことがわかりました。優秀な営業担当者が頑張ってどうにかなるような問題ではないのです。

なぜ、このようなことがわかったかと言えば、営業会議の中で各営業担当者からの報告があり、社長・部長・営業スタッフとのやり取りがあって… と言う流れに他なりませんが、A社の営業会議では、弊社から作成を依頼したオリジナルの「営業戦略マーケット資料」をもとに会議を進めているからです。

この資料は、狙ったマーケットの総需要と顧客ごとの需要、さらに競合他社の売上(顧客ごとの客内シェア)がわかるように作成されています。こうすることで、200社近くある顧客の中でもX社においては自社の売上は高いものの、競合他社にも相当の売上・シェアを奪われている、というのがひと目でわかるわけです。

今までの営業会議が、「自社の売上がいくらでした」「来月はいくらの売上になりそうです」…という類の営業担当者ごとの報告に終始していたのに対し、「営業戦略マーケット資料」を活用した営業会議では、顧客ごとの需要と競合他社の売上・シェアなどがわかるので、自社が現在置かれているポジションを俯瞰して戦略的に見ることができるのです。

俯瞰して見ることができるようになると様々なメリットがあります。先ずひとつは、営業スタッフの主観のみを鵜呑みにして、判断を誤るというようなことがなくなります。

次に、戦略の打ち手を複数検討し、自社の現状にあった打ち手を選択できることです。例えば、上記のA社の営業会議のように、1)「X社からの売上が相当あったが、競合他社のB社とC社にもかなり食われていた。では、B社とC社からシェアを奪うにはどうすれば良いだろうか」という攻めの戦略がひとつ。

その一方で、「当社が、ある条件をクリアしていないことが原因で、かなりの売上が競合他社のB社とC社に流れている。すぐに条件をクリアできないのであれば、X社から今以上の売上を上げる(シェアを獲得する)ことを一旦保留し、X社以外の他社から売上を上げるように経営資源をシフトする。その間、速やかに経営トップが条件をクリアするための対策を講じる」という守りの戦略もあるでしょう。

ここでお伝えしたいのは、営業活動において、営業戦略と営業戦術は明確に分けて取り組まなければならないということ。戦略と戦術では、やる人も違えば、やること(内容)も全く異なるということです。

では、営業戦略と営業戦術の違いは何か?ということになりますが、その前に、先ずは経営戦略と営業戦略の違いを知っておいてください。経営戦略は「会社の目的を達成するためのシナリオづくりと最適資源配分」。これに対して、営業戦略は「会社の目的を達成するための、営業活動におけるシナリオづくりと最適資源配分」です。

営業戦略以外にもネット戦略・web戦略、宣伝戦略、物流戦略、人材戦略などがありますが、これら各戦略が集まったもの、その集合体が「会社の目的を達成するための経営戦略」になるわけです。

では、上記のように営業戦略を定義した時、営業戦術をどのように捉えるかと言えば、「営業戦略に沿った、営業の現場における活動のすべて(顧客への訪問回数、面談時間など)」ということになります。

A社の場合、X社における売上を伸ばすには(客内シェアを上げるには)、「ある条件」のクリアが必須でした。「ある条件」をクリアできない現状において、取るべき戦略は・・・

1)X社の売上は現状維持とし、他の顧客に経営資源をシフトする。2)X社の売上を上げるために他社との業務提携を急ぐ。3)競合他社となるB社・C社の下請けとして、条件の良い方に付く(業界ならではの手法として考えられなくはないという結論)というような戦略になります。

これら1)〜3)の戦略は文字通り「戦略」であって、現場が決めるものではなく、どうこうできることでもありません。営業戦略は経営トップの仕事であり、営業戦術は営業の現場や営業スタッフ個人の仕事戦略と戦術は分けて「考動」しなければならないのです。これはB to BでもB to Cでも同様です。

さらに重要なのは、戦略と戦術を分けながらも、営業戦術を駆使した営業現場の生の情報がなければ、戦略は立てられないということです。経営トップが営業の現場から情報を吸い上げ、「戦略」を決定した上で「戦術」として営業の現場が動くということをしなければ、営業活動としての効率アップ・成果にはつながらないのです。

「情報なくして戦略なし、戦略なくして売上なし」であることを下記の動画でも確認してください。貴社の営業活動は戦略と戦術を分けて「考動」してますか?営業活動が「競合他社に勝つ戦略」を立てるための情報収集活動になってますか?

法人営業戦略の立て方考え方

動画の再生はこちら(成長戦略TV 第26回)

 


【収益最大化の導線経営】1年で売上2倍の仕組みをつくる戦略と仕掛け
中丸秀昭

導線経営コンサルティング

日本成長戦略研究所株式会社代表取締役

中丸秀昭

執筆者のWebサイトはこちら http://growth-strategy.jp/

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