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商品リニューアルにおける「仕組み」の回し方

  商品リニューアル 古崎千穂 SPECIAL
古崎千穂 SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング 代表 古崎千穂

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

わたしの商品リニューアルコンサルティングでお伝えしているのは、たったひとつのことです。それは、自社で仕組みを回せるようになりましょう、ということです。そうすることができなければ、マーケティングや人材育成に関わる研修も、たんなる「遊び」に過ぎない、ときっぱりと申し上げています。

中小企業であればあるほど、自分たちでビジネスを動かすことができなければ、これからの激動時代において、非常に厳しいものがあります。当然、超少子高齢化、人口減が叫ばれていますので、危機感をお持ちになっているのは当然だと思います。それでも尚、お伝えしているは研究や勉強熱心なあまりに「できるような気になって」おられる方が多いからです。そして、一見「できるような気にさせる」研修がまだまだたくさんあるな、という実感があるからです。

先日、6ヶ月間のプログラムを終えたクライアントも、当初は、その真摯さ故「売上のあげ方をちゃんと勉強したことがない。マーケティング的なことを教えていただきたい」ということで、弊社にご相談にいらっしゃいました。創業約四半世紀、先代から事業を承継し次の25年に向けて模索されている状況でのご相談です。

今までコンサルティングとか、コンサルタントとは無縁だったそうです。地元の中小企業家同友会が運営する経営指針セミナーを受講し、経営理念を含めた経営計画書を作成されていました。その計画書にはいわゆる「マーケティング的」分析も盛り込まれていて、SWOT分析、3C分析、ロードマップも取り組まれていました。それを拝見させていただき「マーケティング的なことは理解しておられますよ」とアドバイスしたところ、今ひとつ納得いただけない表情をされたことが昨日のように思い出されます。

マーケティングとはもともとアメリカから入ってきた手法です。日本においては、「市場調査」と同義だった時代もあります。最近では、ネット上に造語があふれ、名詞と組み合わせた「〇〇マーケティング」という新しい言葉が次から次へと現れています。そうしたものは当然商品ですので「実績」とセットで語られています。ビジネスには正解はありませんので、実績や成果のあがっている手法があり、そこに希望の光を見、少しでも儲かりそうな手法を取り入れようと努力される姿には頭がさがります。しかし、自分でできるようになっていない、そう訴える会社があるのは確かで、実際に弊社にはそういう方のご相談が多いのです。

一方、約15年メーカーに在籍していた実務経験の現場では、マーケティングはまったくしていませんでした。意図して「マーケティングはしないよ」とトップが話していました。これは和菓子の虎屋、フランスを代表するファッションブランドのエルメス、高級チョコレートのゴディバの経営者たちもインタビューや著作の中ではっきりと明言されています。当然、歴史のある会社ですから必要最低限の施策は実施されてきたはずです。そのプロセスを経て、今尚支持される企業の言葉、考え方が示す思考は参考になります。

わたくしの場合は、最初に勤めたメーカーは、年賀状とブライダルカードを作る日本ではトップシェアの会社です(1995年頃)。結婚を機に転職し、2社目が全国に約350店舗あった洋菓子メーカーです。製造、商品開発、販売全てを自社でまかない、デザインや企画部門も社内にありました。どちらの会社も共通しているのは「自社で工夫してやる」という姿勢を貫いていました。当たり前のようにジェネラリストとしてものづくりに関わる全てを体験することを命じられ、さまざまな現場を渡り歩きました。そうした経験が皮膚感覚となっています。私の提供する商品リニューアルコンサルティングは、お客様に届くまでの「一部分」を取り出したものではなく、全体をくまなく経験したからこそ提供できる、一連の流れが仕組み化されています。

さらに社内での暗黙の合言葉は「お客様はそれで嬉しいか?」でした。スローガンを掲げていたわけではありませんが、徹底した「お客様目線」で商品開発をやり、主力商品の強化で、商品リニューアルを当たり前のように繰り返していました。製販(製造部門と販売部門)の狭間で、さまざまな戦いが繰り広げにれますが、起点は必ずお客様目線です。会社都合や、マーケティングのフレームから商品開発やプロモーションの企画立案をすることはありません。どちらも徹底した自社で、自分たちの「足」でつかんだ一次情報を基盤としていたのです。

年賀状の開発ではターゲット顧客への細かいテストは半年以上かけて徹底して実施していました。年々積み重なっていくオリジナルデータです。洋菓子メーカーでは、店舗スタッフはじめ、パティシエや企画担当がいち顧客として、自分の足と舌でつかんだ一次情報を膨大に集積することにつとめ、商品会議でふるいにかけていました。この洋菓子メーカーは約8年前にM&A。大手マーケティングコンサル会社に数千万単位のコンサルティングをオファーし、数億円かけてCIをリニューアルしました。売上や店舗数の推移は、公表されているデータから厳しさが伝わってきます。

冒頭のクライアント企業はサービス業ですが、会社で抱えている問題の半分以上が「人」の問題だということがわかりました。一方で「先生、やっぱり、競合がみんな安売り合戦になっている。自社も売上をあげていくためにセールをした方がよいのでしょうか」と切羽詰まった表情で相談されてきました。「自社の強みとかないんじゃないか」「たまたま通りかかってきたんじゃないか」「どうして来店してくれるかは、、、正直わからない」とポツリポツリとおっしゃいます。そこで、全店舗でアンケートを実施したところ、社内の想像を超えて、ていねいなサービスが再来店につながっていることなどがわかりました。自社の強みを教えてくれたのも、やはりお客様なのです。

本気で業績を良くしたいのなら、「できた気」にさせる研修に寄りかかっていてはダメです。研修を受ける、という考え方も見直さなくてはなりません。その時間があったら、お客様に会いに行くことです。もちろん経営者だけではなく、全社が一丸となって、自分の足で現場にゆき、自分の頭で考え尽くしていかなければなりません。勉強したフレームワークからはみ出すくらいの発想を持つこと、そして、考え尽くすことです。寄りかからないで自分たちの足で立っていく。その覚悟ができいるかどうか。そこが生命線です。コツもパターンも水平展開もありません。

前時代のマーケットでは「型」が有効でした。しかし、ここ10年の劇的な変化と今現在刻々と変化しているマーケットにあって、昨日までの事例を当てはめて行くことはかなり危険ですし、先ず「それで良い」という考え方に問題があります。今に未来に向かっていかなくてはならない企業が「過去のパターン」のお勉強をし、満足してしまう。それが意味することの危うさに気づいて欲しいのです。

当たり前のことですが、自社で道を切り開いてゆくことです。研修を受けてできたような気になったとしたら、それはご自身が甘い、と律する必要があります。トップに対して厳しい言葉を愛をもって投げかけてくれる人こそ真の伴走者ですが、そういう環境を整備されている経営者はなかなかいない、という実感があります。

さて、冒頭のクライアント企業では、この半年に商品リニューアルしたキャンペーンの実施、ネット商品の改善などに取り組み、実際に数字を伸ばしはじめています。そしてこうおっしゃいました。「マーケティング的なノウハウだけ学んでもダメだということがわかりました」と。低価格路線も視野に入れた方がいいのではないか、と言っていた頃とは別人のようです。

そして、こうおっしゃいました。「今度、ある同業他社の見学に行くんです。そこは付加価値をつけて高価格商品を提供しているにもかかわらず、高収益で売上が上がり続けてるんです。その秘策をつかんで自社にも活かしたい!」と。さらに続けて「半年間のコンサルティングを受けて現時点では実績はこれからです。しかし、視点が上がった!そして着眼が変わりました!そう目を輝かせながら話してくださいました。

マーケティングをはじめ様々なセミナーでは「成果」「実績」を大きく前面に出してアピールしています。しかし、実際の裏話では「成果が出やすい案件だけを請け負う」ことをモットーとしていたり、そんなバカバカしいことがビジネスの現場でまかり通っている事実もあります。

ビジネスには正解はありません。唯一無二の御社独自の「道」をつくり、自社流の儲ける仕組みを手探りで作っていくことです。自社の潜在的にある、オリジナル、「軸」となる魅力を工夫して伝えてゆくことです。厳しく険しい道こそが、真の道です。覚悟を決めて踏み出してはじめて、マーケティングノウハウも人材育成も、ノウハウを定着させることができるのです。人任せにしないで実践していくことです。そして、検証していくこと。新しい道を作っていくこと。この覚悟を持てた時はじめて「仕組み」が回りはじめるのです。

【社長直轄】商品リニューアルの着眼点
古崎千穂

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング代表

古崎千穂

執筆者のWebサイトはこちら https://rbnc.jp/

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