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日本企業がいまの半分でいい、という時代を生き抜くための商品リニューアル戦略

  商品リニューアル 古崎千穂 SPECIAL
古崎千穂 SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング 代表 古崎千穂

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

先日、支援先の食品メーカーが都内開催のイベントに出展しました。そのイベントはエンドユーザー1200名が集まります。30社のメーカーが出展しており、飲食しながら、各社の商品を味わい楽しむ、メーカーの経営者やスタッフと交流する会費制イベントです。

イベント自体は19年続いており、支援先企業は今回で3度目の出展です。去年までは主力商品の出展でしたが、今回はリニューアルした新商品のお披露目です。出展の目的は、リニューアル商品に対して消費者の反応を見る、というテスト的な位置付けでした。

午前と午後の二部構成となっていました。かつては個人客や同伴者を連れての参加が多かったようですが、最近の傾向としては、同窓会や愛好家たちで構成されたグループ参加が増加しているようです。商品を通じてSNSで小さなコミュニティが生まれオフ会をしている時代の空気感が伝わってきました。

こうしたイベントはエンドユーザーにとって「お楽しみの場」で、メーカー各社を回りながら、商品を味わい、メーカー各社の人たちと交流を楽しみ、仲間とシェアする体験の場です。一方メーカーサイドにとっては、エンドユーザーとのリアルなコミュニケーションの場であり、土台には「今のお客様が何を求めているのか」を探るチャンスの場として位置付けられます。

弊社がコンサルティングしているメーカーにも、たくさんのお客様がいらっしゃいました。「いつも楽しんでるよ」とか「去年も出展してましたよね」「〇〇社長に会いに来ました」等々リピーターで根強いファンの方が来てくださいました。そして、初めての方、訪日客の方も多く立ち寄ってくれました。

そして、リニューアルした商品に気づいてくださったお客様が「すごく素敵になりましたね」とか「どうしてリニューアルしたんですか」という質問や、もっと本質的に「そもそもどうしてこの商品が生まれたんですか」という開発秘話に関心を寄せてくれるお客様がとても多く、非常に驚きました。そして、リニューアルの手応えを強く実感することができました。

「商売」のことや「会社都合」などまったく関係のない、ただ純粋に商品世界を楽しむお客様のリアル、一番印象に残ったのがお客様のこんな一言です。「・・・どの会社も個性がそれぞれあって素晴らしいですよ。一同に集まっているからその個性を体験できてうれしい」。メーカーサイドの目線で考えれば競合他社が出展する場、実際に出展「場所」の問題でもめたこともあるそうです。が、そんな企業の事情とは無関係で、顧客こそが成熟している、と強く実感しました。

集まった30社のどのくらいの会社が、こうした成熟したお客様に力強く商品の世界観を伝え、お客様の楽しい世界をより豊かにふくらませることができたのだろうか。30社の中で、何社がしっかりとお客様を満足させられたのだろうか。

上から目線で「口に入れれば商品の素晴らしさがわかる」という雰囲気や、「〇〇ブームだから売れると思ってこういう商品を出した」と会社の裏事情とストーリーを混同していたり、「世界が認めたヒット商品を出品すれば長蛇の列」とかで去年と同じラインナップで自社更新していない会社も見られました。

今、大手企業では毎日のように企業の統廃合が行われています。人口減少対策としてなされているわけですが、日々の業務に追われ人口減対策は後回し、というのが中小企業の意識レベルではないでしょうか。

オックスフェード大学日本学専攻、元ゴールドマン・サックス金融調査室長という経歴を持つデービット・アトキンソン氏は最新著作「新・生産性立国論」(東洋経済新報社、2018年3月8日発行)の中で「日本企業の数はいまの半分で良い」と提言しています。

企業の数は半分でいい。そんな時代が近づいています。アトキンソン氏の著作のみならず、様々なデータを調べてみれば傾向として裏付けできるものです。仮に半分が要らない会社になってしまうとして、例えば今回出展した30社のうち15社が生き残るためには、何が決定的なのだろうか。逆算すれば「要らないとお客様に言われるのは、どんな会社か」ということです。

商品リニューアルの現場で求められるのは「売れないものを売れるようにしてほしい」という強い要望です。その真意は、従来商品はそのままで、パッケージングやネーミングなどを意匠を改善する、プロモーションツールを一新するなど「目に見える側面を変えてヒットさせたい」ということです。“目に見える魔法をかけてほしい”ということです。そうしたことは、そうむずかしいことではありません。

むしろ困難なのは「目に見えない部分のリニューアル」です。目に見えることは後、目に見えない部分が先、というのがリニューアルヒットの原理原則です。

たくさんのお客様がクライアント企業のブースに来て「どうしてこの商品をリニューアルしたのですか」「なんで〇〇というコンセプトなんですか」と質問されました。ブースに訪ねてくださったお客様お一人お一人の真剣でキラキラと輝く眼を忘れることができません。

お客様は真剣に、

素晴らしい商品を出している30社のなかで

御社がこの世に商品を送り続ける意味は?

御社が存在する意味ってなんですか?

御社の使命ってなんですか?

そう問いかけてきたのです。

日本の半分の会社が不要である。そういう時代になりました。

どうして商品リニューアルするのでしょうか?

そもそも、たくさんある商品世界のなかで、御社が商品を世に送り出す意味は何でしょうか?

この質問にしっかりと回答できますでしょうか。お客様に伝わるよう、しっかりと自信をもって伝えることができますでしょうか。そして、社長だけでなく社員の方、パートアルバイトの方も、伝えることができますでしょうか。 全社一丸となって「どうしても伝えたいこと」が御社にはありますでしょうか

・・・「いや、わたし(社長)はともかくアルバイトさんまでは、ねー」というのが現実かもしれません。日本経済の成長期でしたら現状維持できたでしょう。時代が変わりましたし、日々猛スピードで変化しています。

お客様の立場で考えて、いまの企業の半分を選ぶとすれば、どのような会社でしょうか。社長も社員も社員の家族も、みんながキラキラと輝く眼で自社商品のストーリーをしっかり語れる・・・そんな会社を選ぶのではないでしょうか。目に見える手法だけで生き残る時代は終わりです。いま、目に見えないリニューアルが要請されています。血の通った人間が創る企業として、小手先ではなく「本質」が求められているのです。

 

【社長直轄】商品リニューアルの着眼点
古崎千穂

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング代表

古崎千穂

執筆者のWebサイトはこちら https://rbnc.jp/

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