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ヒットを生む0.5歩先のトレンド積分法

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング

代表 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

「SDGs」や「サステナブル」という言葉を目にする機会が増えています。これらはトレンドでもブームでもありません。当たり前の考え方として、定着しようとしています。

8月2日付の朝日新聞6面、社説のタイトルに「地球の限界」という言葉が使われています。1990年頃、学校の授業で「地球は有限である」と教えられたときのショックは忘れることができませんでした。「地球は無限の命である」と勝手に思い込んでいたからです。

この社説では「人新世(じん・しんせい/ひと・しんせい)」という言葉に言及しています。この言葉は地質学用語として2024年に正式決定する運びです。「人新世」は地球46億年の歴史に刻まれる新しい「区分」です。

そもそも地球の歴史における時代の区分とは、地球の地層に残る化石などをもとに区分されてきました。古生代石炭紀、中生代ジュラ紀などがあり、現在は1万1700年前続く「新生代第四紀完新世」にあります。ここでいったん区切りをつけよう、というのが人新世です。

「人間の活動が地質に刻まれた時代」の始まりです。人新世の地質とは、プラスティックをはじめとする化学的に生み出されたモノの集積になります。自然の循環とは異なる、化学的なモノであふれた地質になります。

こうしたことを指摘している新聞ですが、トレンドやブームという観点で考えれば、新聞はかなりスローなメディアです。この遅さが、ちょうどいいタイミングであったりします。無名の一般生活者は無言です。それゆえ、商品づくりに際しては時代の気分を見逃してしまうので注意しなければなりません。

疫病、自然災害が多発する今、身をもって人新世の時代を実感する一般生活者は「商品選び」や「買い物」の意識を、新しく書き換えている最中です。数年前までは「エコ」も「ロハス」も「サステナ」もファッションやライフスタイルでした。が、今はその他人事的雰囲気から一歩進んだ空気があります。

株式会社サザビーリーグが手がけるブランド「Afternoon Tea」が7月28日にリリースした新商品群には度肝を抜かれます。コンセプトは「わたしが選ぶ小さな一歩。サステナブルなことはじめる。」とし、商品には「オーガニックコットンや再生ポリエステル、ライスレジン®など、地球に優しい素材を積極的に採用」と説明します。

人気のイラストレーターchitose chitoseさんを起用。アイテムのモチーフには、オラウータンをはじめ、シマウマ、フクロウ、ヒョウ、パンダなどの絶滅危惧種の動物を描いています。もちろん売り上げの一部は、森林保全団体「more trees」に寄付されることも告知しています。

さらに9月30日までは、期間限定ワークショップを企画。絶滅危惧種・オランウータンについて学ぶオンライン開催で、夏休みの自由研究にもピッタリです、と強いプロモーションを展開しています。

視るべきポイントは、ターゲット層である女性(男性も一定数)の心を鷲掴みにする「気分があがる」デザインに昇華している点です。「SDGs」や「サステナ」「持続可能」と言った、生活者とは離れた「上」の人たちが決めた言葉、「枠」「定義」「概念」とは全く違う次元から「たのしく」て「わくわくする」世界観を商品化している点です。

コンセプトコピーには「わたしが選ぶ小さな一歩。」という力強い言葉を明記しています。「わたしたちが人生の主役」という強い意志を感じます。一般生活者の「革命」を表現しています。それも「たのしい生活革命」を提唱し、美しい商品プロデュースをやってのけました。

時代の流れといった「お仕着せ」のサステナブルから、生活に取り入れ、楽しみながら、経済も回しながら「当たり前」にしていくライフスタイルの息吹を感じます。こうした動きが民間企業から生まれると、一気に「サステナブル」「SDGs」という言葉を使うだけ野暮、そんな気分にしてくれる楽しい商品サービスが今後ますます続いてゆくでしょう。

中小企業において「SDGs」を訴求した経営戦略が叫ばれています。しかし、一般生活者の意識の方が、企業よりも早く変わります。これからのアクションにおいて、SDGsを訴求するような表現には注意が必要となり、「企業が遅れてやってきた」感にならないよう配慮しなければなりません。今更SDGsでは遅すぎるのです。

商品リニューアルの哲学である「変化になじませ、変化を創造する」意識を持つ企業はチャンス! 今です。これまで本質的に「WHY」を起点に「なぜわたしたちは新しい商品サービスをつくり、提供しようとしているのか」をしっかりと考えてこられたならば、構築してきた自社の「当たり前」を商品に昇華させ、伝わるまで伝えてゆく時。その本気を押し出してゆくタイミングです。

これからの企業については、スピードを持った意識改革が必要不可欠です。ブームやトレンドといった、思い込みを捨ててください。今ある自社の強み、価値、資源を原石とし、時代の変化に合わせて商品リニューアルをしたいとお考えの企業であれば、まずは基本的な考え方を定めることが必要不可欠です。

ご自身の考え方=基本問題が定まれば、自社に積もる課題や問題がするすると解けてゆきます。そして商品戦略の方向性がガラッと変わります。自社の存在意義をリニューアルする絶好の機会と考えてください。

“持続可能”な商品づくりについて、「一時的なトレンド」と受け止めるのか、「本質的な流れ」ととらえるかという二つの考え方があります。トップリーダーであるあなたが、どう考えているか、本気でどう思っているのか。本質的な基本問題が問われています。

それによって企業姿勢も大きく変化し、進むべき道も変わります。進むべき先にお客様がいるかどうかは、社長の考え方次第です。わたくしどもは、お客様のいる道へと照らし導くことができます。

疫病もスポーツの祭典も乗り越えたところに、新しい世界が広がっています。最新テクノロジーの活用に躍起になりがちですが、わたしたちのお客様は誰でしょうか? ロボットに商品サービスを展開するのでしょうか?

時代は大きく変化し、人間も進化していきます。しかし、お客様の心も、気持ちも、気分も、何一つ目の前に取り出して視ることもできなければ、物質として顕微鏡で覗くこともできないのです。何一つわかってはいません。だからこそ、目の前の今を捉えていくことです。時代の気分をつかむやり方を見つけ、その上で「伝わる方法」でコミットしなければなりません。愛すべき存在である「人間」がうれしく、たのしく、ハッピーになる商品を提供していく。これが、この星で営まれる商売の本質であり、ミッションです。

 

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